MMERSEのプラットフォーム、カリキュラム、指導法の開発には、研究が常に重要な役割を果たしてきました。
私たちは、製品や教育に関するあらゆる意思決定を、信頼できる研究に基づいて行っています。また、提供する教育プログラムの効果を継続的に検証するため、外部の第三者による公正な調査も実施しています。
こうした取り組みは、主に世界各国の大学に所属する専門研究者との連携によって進められています。彼らは、IMMERSEが言語学習にどのような影響を与えるのかを、独立した立場から検証しています。
2019年以降、私たちは言語学習におけるVRの効果を専門とする35名以上の研究者と協力しながら、研究を重ねてきました。

IMMERSEは、複数の大学と連携し、VRが言語学習のさまざまな側面にどのような効果をもたらすのかを検証する研究を行っています。
こうした研究を通じて、私たちは次のような多岐にわたる問いに対する知見を深めてきました:
- Does VR hel・VRは、学習者のスピーキング力や流暢さをどの程度向上させることができるのか。
- VRは、語彙の習得をより速く、より定着しやすくすることができるか。
- IMMERSEのAIアバターのどの機能が、学習効果の向上に最も役立っているのか。
こうした問いに対する答えは、IMMERSEの効果を最大限に引き出し、学習者がより早く、より自信をもって話せるようになるための重要な手がかりとなっています。
IMMERSEに関する研究から得られた主な知見
大学との5年にわたる共同研究により、IMMERSEは言語学習の成果はもちろん、学習体験そのものを高める効果があることが示されています。
1. 学習効果の向上
IMMERSEはスピーキング力を大幅に向上させます。

複数の研究によって、IMMERSEがスピーキング力に与える効果が測定されています。
その結果は一貫しており、IMMERSEを使用した学習者は、従来の教室での学習と比べて、より短期間で、かつ大きくスピーキング力を向上させていることが示されています。
以下では、IMMERSEが学習者のスピーキングの流暢さに与えた影響を示す、具体的な研究結果をご紹介します。
- 青山学院大学による研究では、IMMERSEを利用した学習者が、従来の学習方法に比べて約9倍のスピードでスピーキング力を向上させたことが確認されました。実際に、4カ月間の学習でTOEICスピーキングスコアが平均100点以上向上したという報告もあります。一方で、従来の教室学習では、スコアを56点上げるのに平均3年を要するとされています。
- IMMERSEを利用した学習者の99%が、英語のスピーキング力の向上に役立ったと回答しています。実際、中央大学および日本大学による複数の研究でも、参加者が自身のスピーキング力の向上を実感したと報告しています。
- 慶熙大学による研究では、IMMERSEでわずか4週間学習しただけで、「会話の完成度」を含む複数のスピーキングスキルにおいて大幅なスコア向上が見られました。その結果、英語スコアは平均で133%の伸びを記録しています。(慶熙大学)
- 大手教育企業ベネッセの社員を対象とした調査では、IMMERSEを8週間使用した結果、英語を話す時間が週ごとに平均24%ずつ増加し、最終的には2.75倍にまで伸びたことが報告されています。
- 中央大学による研究では、IMMERSEをわずか4時間使用しただけで、TOEICスピーキングスコアが平均13%向上したことが確認されました。この効果は、VRヘッドセットを使用した学習者だけでなく、パソコンで学習した学習者にも共通して見られました。
- パデュー大学の研究によると、IMMERSEで6回のレッスンを受講した学習者は、スピーキングスキルにおいて顕著な向上が見られました。具体的には、語彙力が39%、文法力が31%、流暢さが25%、発音が8%それぞれ改善しています。
- 慶熙大学の研究では、学習者が「IMMERSEでの学習を通じて、現実の場面でも英語でコミュニケーションを取る自信がついた」と感じていることが明らかになりました。
彼らは、IMMERSEのリアルな学習環境での練習を、実際の英語使用場面に向けた“リハーサル”と捉えていました。 - イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校およびバルセロナ自治大学の研究によると、IMMERSEを利用した学習者は、従来の教室での活動と比較して、より高いレベルの英語を使用して会話を行っていることが確認されました。具体的には、教室での活動がCEFRのA1〜A2レベルにとどまる一方で、IMMERSEではB1〜B2レベルの言語運用が見られました。
IMMERSEはリスニング・リーディングの理解力の向上にも大きな効果を発揮します。
言語学習者にとっては、話す力だけでなく、聞く力や読む力も重要です。ある研究では、IMMERSEが学習者のリスニングおよびリーディングの理解力にどのような影響を与えるかが検証されました。

- 青山学院大学の研究によると、IMMERSEでわずか3時間学習しただけで、学習者のリスニング理解力が21%向上しました。このように、IMMERSEのレッスンは、短時間でも確かな学習効果をもたらすことが示されています。実際、リスニングやリーディングなどの標準化テストにおいても、参加者のスコアは大きく改善しています。
IMMERSEは新しい語彙の習得と定着を加速させます。
語彙力は、円滑なコミュニケーションに欠かせない重要な要素です。私たちの研究パートナーは、IMMERSEのように、学習者が実際の場面や物体と関わりながら語彙を学べる環境こそが、語彙習得に最も効果的であると考えてきました。そしてその仮説は、複数の研究によって裏付けられています。

- ノーステキサス大学の研究によると、学習者はIMMERSEでわずか1回のセッションを受けただけで、語彙スコアが平均69%向上しました。さらに、パソコンからアクセスした場合でもVRヘッドセットを使用した場合でも、新しい語彙を習得・定着できており、どちらの利用方法でも語彙学習に効果があることが示されています。
- イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校とバルセロナ自治大学の研究によると、IMMERSEの学習者は、レクチャーの中で教えられた語彙だけでなく、学習環境への没入を通じて、文脈から自然に新しい語彙を習得していました。このように、IMMERSEでは明示的な語彙学習に加えて、状況に応じた語彙の偶発的な習得も促されることが明らかになっています。
- 慶熙大学の研究では、IMMERSEでは仮想空間を自由に移動できるため、学習者が「here(ここ)」や「there(あそこ)」といった空間指示詞を自然に練習できることが確認されました。自分の位置関係が反映される没入型の環境の中で、こうした表現を実際のコミュニケーションで使う体験が、語彙の効果的な習得につながっています。
- 日本大学、シェフィールド大学、神田外語大学、マンチェスター大学による複数の研究により、IMMERSEが学習者にとって記憶に残りやすく、文脈に基づいた効果的な学習体験を提供していることが明らかになりました。実際に、多くの学習者が、新しい語彙や知識をよりスムーズに覚えられたと報告しています。
IMMERSEは英語で協力・連携する力を育てます。

- インターナショナルハウス・マンチェスターの研究によると、IMMERSEを使ったオンライン授業では、グループでのやりとりがより自然になり、会話アクティビティもスムーズで効率的に進められることが確認されました。会話のテンポも良く、グループ活動全体の質が向上したと報告されています。
- 慶熙大学の研究によると、学習者はより現実的な英語使用の場面が用意されているという理由から、IMMERSEでの学習を好む傾向がありました。IMMERSEでは、より自然なやりとりが生まれ、発話の機会も増え、日常生活に関連した話題について、より具体的かつリアルな内容でやりとりすることができたと報告されています。
- Learners worked together better in English. IMMERSE improved participants’ collaborations by allowing them to work together in a shared, realistic environment. The VR environments and objects made communicating easier and improved learners’ higher thinking skills (Chuo University).
- 中央大学の研究によると、IMMERSEを活用することで、学習者は英語でより円滑に協力し合えるようになることがわかりました。。現実感のある共有空間で一緒に作業できることが、協働の質を高める要因となっており、VR空間やオブジェクトの存在が、やりとりをスムーズにし、学習者の高次思考力の向上にもつながっています。
- ヴェネツィア大学の研究によると、IMMERSEは現実に近い課題をテーマとした口頭での協働活動を促進することがわかりました。また、学習者同士のやりとりや意味の共有、やりとりの進行を言語的・非言語的に支援する中で、仲介的な働きかけ(メディエーション)に関するスキルも向上したことが明らかになっています。
- IMMERSE’s environments served as a catalyst for initiating and sustaining learners’ interactions. Learners frequently incorporated relevant objects and visuals from the surrounding context into their conversations (Kyung Hee University).
- 慶熙大学の研究によると、IMMERSEのバーチャル環境は、学習者同士が会話を始めたり、継続したりするためのきっかけとして機能していることがわかりました。学習者は会話の中で、周囲の状況にある関連するオブジェクトや視覚的な要素を頻繁に取り入れていたことが確認されています。
2. 学習体験の向上
IMMERSEが言語学習の心理的な要素にもたらす効果
言語学習の成果は、単に知的・認知的な努力だけに依存するものではありません。感情面や心理的な要素も、学習の成否を大きく左右する重要な要因です。
IMMERSEは外国語学習に伴う不安を軽減します。
Research on language learning has consistently shown that foreign language anxiety is a major hindrance to language learning success. Anxious learners avoid speaking because they are afraid of making mistakes, yet without speaking practice they cannot develop fluency.
言語学習に関するこれまでの研究では、外国語不安(foreign language anxiety)が、学習の成功を妨げる大きな要因であることが一貫して示されています。外国語不安を感じる学習者は、間違えることを恐れて発話を避けがちですが、話す練習をしなければ言語を身につけることはできません。
しかし、IMMERSEがこの外国語不安を大きく軽減することが、私たちの研究パートナーによって明らかになっています。IMMERSEでは、ユーザーはアバターを使って仮想空間に参加するため、一定の匿名性が確保され、緊張や不安を感じにくくなります。そのため、間違いを恐れずに英語を話しやすくなり、不安の軽減につながっているのです。

- 中央大学の調査によると、IMMERSEでわずか2時間学習しただけで、学習者の99%が外国語学習に対する不安が軽減したと回答しています。
- イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ノーステキサス大学の調査によると、IMMERSEのAI搭載アバターとの会話において、92%の学習者が英語を話す際の不安が軽減されたと報告しました。
- マイクロソフト韓国の調査によると、従業員の86%が「IMMERSEを通じて職場で英語を使う自信がついた」と回答しています。
- 中央大学の調査では、アバターを使用することで学生の外国語学習に対する不安が11%軽減されたことが示されています。
- 日本大学、青山学院大学、シェフィールド大学の研究によると、IMMERSEは学習者の自信、学習意欲、コミュニケーションへの積極性、そして英語に対する姿勢を向上させる効果があることが確認されました。
IMMERSEは学習意欲と主体的な取り組みを高めます。
言語学習の成功には、エンゲージメントとモチベーションが重要な要素です。
退屈さや挫折感、フラストレーションを感じた学習者は、言語を身につけるために必要な何百時間もの学習に取り組むことができません。
IMMERSEは、そうした課題を解消する手助けとなります。学習者が毎回の学習を通じて確実に上達を実感できるよう、能動的でやりがいのある学習体験を提供することで、学習への意欲を高めています。

- パデュー大学の調査では、学習者の94%が「IMMERSEでの学習は主体的に取り組めて楽しい」と感じていることがわかりました。
- 慶熙大学の研究によると、IMMERSEでのレッスン中、学習者はその97.5%の時間を、集中して積極的に学んでいたことがわかりました。このうちの79%は、他の学習者やシーン内のオブジェクトとのやりとりに費やされており、高い集中度と参加意欲が確認されています。
- マイクロソフト韓国の調査によると、全社員の100%が、IMMERSEのリアルでインタラクティブな環境で英語を学ぶことを楽しんだと回答しました。
さらに、71%の社員が「今後もVR英語コースを受講したい」と考えていることが明らかになりました。 - イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、ノーステキサス大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校による共同研究では、100名以上の参加者を対象に調査が行われました。その結果、IMMERSEのインタラクティブで社会的な学習体験に対して、学生たちは非常に前向きな反応を示しており、97.5%の学生が「オブジェクトや他の学習者とやりとりしながら学べることが楽しかった」と回答しています。
- イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校とバルセロナ自治大学の研究によると、IMMERSEには学習者のモチベーションを高める効果があり、特に学習意欲がもともと低かった人に対して、より顕著な効果が見られることがわかりました。
- ローマ国際大学と慶熙大学の研究によると、IMMERSEは体験型の学習を通じて、学習者の関心や積極的な参加を引き出していることがわかりました。
- 日本大学の調査によると、参加者はIMMERSEによって英語学習中の楽しさやモチベーション、自信が高まったと感じていました。
- 慶熙大学の研究によると、仮想空間でオブジェクトを実際に操作する体験によって、学習者同士のやりとりはより活発で意欲的なものになりました。こうした体験は言語を使う場面に具体性をもたらし、自然な流れの中で英語を使う機会を生み出すことで、リアルなコミュニケーションへとつながっています。
IMMERSEの大きな特長のひとつは、言語学習者がプラットフォーム上で体験できる「没入感の深さ」にあります。この没入感が高まることで、まるで自分が本当にVR空間の中にいるかのような「プレゼンス(存在感)」が強まり、それが学習効果にもつながることがわかっています。
実際に、私たちの研究パートナーの調査では、このようなリアルさや身体性のある体験が、学習者の集中力を高め、言語の習得や使用への意欲を向上させていることが確認されています。
具体的には、以下のような結果が得られています。

- イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、ノーステキサス大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の調査によると、学生の70%が「VRは外部からの気が散る要因を減らし、学習に集中しやすくなる」と感じていることがわかりました。この結果は、マンチェスター大学の研究によっても裏付けられています。
- IMMERSEは学習者に没入型かつ身体性を伴う学習体験を提供するプラットフォームです。慶熙大学の研究によると学習者はさまざまな環境を自由に移動し、そこでオブジェクトや他の参加者と相互作用することにより、集中力が高まり、学習内容の習得や記憶の定着が促進されることが示されました。
- Using avatars made practice conversations meaningful. Learners using IMMERSE reported that being represented by avatars enhanced the realism of their interactions, which led to them speaking more (The University of Manchester).
- マンチェスター大学の研究によると、IMMERSEでアバターを使用することで、練習会話がより意味のあるものになったと報告されています。学習者は、アバターによって自分自身が仮想空間で表現されることで対話にリアリティが生まれ、結果として発話量が増えたと述べています。
IMMERSEのリサーチパートナーシップ
IMMERSEのプロダクト開発における研究パートナーの関わりについては、こちらの記事で詳しく説明していますが、IMMERSEはこれまでに、VRによる言語学習の「なぜ」「どのように」を明らかにしようと情熱を注ぐ大学の研究者たちとのネットワークを築いてきました。
これらの研究パートナーは、IMMERSEの開発初期から現在に至るまで、あらゆる段階で関わってきました。創業者Quinn Taber がIMMERSEを立ち上げた当初には、VRを活用した言語学習に関する学習科学を理解するために協力を得ていました。現在では、英語・スペイン語・ポルトガル語・フランス語のプログラムがどの程度学習成果に寄与するかを測定する有効性研究にも取り組んでいます。
こうしたパートナーシップの仕組みはシンプルです。IMMERSEでは、そのときの研究ニーズに応じて、関連分野の専門知識を持つ研究者と連携します。たとえば、AIによるロールプレイが学習に与える影響を調べたい場合には、AIに詳しく、共同研究に関心のある研究者に連絡を取り、研究の可能性について話し合います。
双方の関心が一致する研究テーマが見つかれば、研究者とその参加者に対して、研究期間中IMMERSEへのアクセスを提供します。研究者は独立して調査を実施し、得られた知見を適宜IMMERSEに共有します。また、その成果は学会発表や査読付き論文を通じて発信され、IMMERSEがVRを使った言語学習の分野で先導的な役割を果たしていることを広く示すことにもつながっています。
このような協力関係は、IMMERSEと研究者の双方にとってメリットがあります。IMMERSEにとっては、分野の第一線で活躍する専門家から、現在の取り組みの良い点や改善点についての貴重な示唆を得られる機会になります。一方、研究者はIMMERSEの充実したVR学習プラットフォームを無償で利用でき、VRが言語学習に与える影響について、自身の研究テーマを深めることができます。
また、研究はそれぞれ独立して行われるため、同時に複数の研究プロジェクトを進めることが可能であり、短期間で多くの研究成果を得ることができています。
これまで研究パートナーが取り組んできたテーマは多岐にわたりますが、大きく次の3つに分類できます。(1)IMMERSEのさまざまな特徴が学習にどのように役立つか。(2)学習中の不安や自信といった感情面にどのような影響を与えるか。(3)スピーキング力や語彙定着など、具体的な言語スキルがどのように向上するか。

3. 結論
研究パートナーによる幅広い調査を通じて、IMMERSEが効果的で魅力ある学習体験を提供しながら、学習者を言語の流暢さへと導く高い効果を持つことが、繰り返し示されています。また、こうした研究者との連携によって、新機能の効果を継続的に検証できるだけでなく、IMMERSEが従来の学習方法よりも、より速く・より効果的に言語習得を支援していることが、実証的なデータによって裏付けられています。

以下の記事でも、研究パートナーの取り組みをご紹介しています。