1. クライアントの背景
Microsoftは、世界中で18万人以上の従業員を抱えるグローバルなテクノロジー企業です。
社内コミュニケーションの共通言語として英語を採用しており、韓国をはじめとする国際拠点でも日常的に英語が使用されています。
そのため、非英語圏で働く従業員にとっては、英語によるやり取りが日々の業務における大きな課題となることがあります。
Microsoft Koreaでは、英語力に不安のある従業員が、職場での円滑なコミュニケーションに課題を感じていました。その背景には、オフィス外で英語を話す機会が限られていることに加え、多言語環境で働くグローバルチームのメンバーに共通する「外国語を話す際の不安」が強く影響していました。
2. 課題
Microsoft Koreaは、従業員が自信を持って英語でコミュニケーションを取れるようになることを目指していました。しかし、従来の語学学習方法は文法や語彙の習得に重点が置かれがちで、スピーキングの実践機会が不足しがちです。さらに、職場のようなフォーマルな場面で英語を話すことへの不安が、学習者の成長を妨げる要因となっていました。

目標は、外国語に対する不安を軽減し、仕事でも日常生活でも自信を持って英語を使えるようになることでした。
3. 解決策
こうした課題に対応するため、MicrosoftはIMMERSEと提携し、没入型学習を取り入れた16週間の英語研修プログラムを実施しました。参加者にはQuestヘッドセットが支給され、IMMERSEのプラットフォーム上で週に1〜2回、1時間の英語セッションに参加しました。
プログラムは、会議や日常会話といった実際のコミュニケーション場面を再現する内容で構成されており、仮想空間での指導経験を持つMA-TESOL(英語教授法修士)資格の講師が担当しました。参加者はアバターとしてプラットフォーム内に入り、過度な緊張を感じることなく、安心して学習に取り組むことができました。
4. 結果と効果
パイロットプログラムの成果は、期待を大きく上回るものでした。
- 参加者の100%が、リアルな没入型環境での英語学習を「楽しい」と感じたと回答
- 86%が、仕事や日常生活で英語を使うことに対する自信が高まったと実感
- 85%が、今後も没入型環境で英語を学び続けたいと回答
- 71%が、IMMERSEでの学習体験を「全体的に良かった」と評価
また、アバターを使って学習することによって緊張が和らぎ、スピーキング練習がより自然に感じられたという声が多く寄せられました。
“仮想空間の中で、実際に英語を使っている感覚がありました。それがとても良かったです。
“VRで英語のクラスに参加したときは、いつもより自信を持って発言することができました。”
“さまざまなVR環境で学べるのがとても気に入りました。”
こうした没入型の体験を通じて、従業員は英語に対する自信を高め、より自由に英語を使えるようになり、学ぶこと自体を楽しめるようになりました。
5. 教訓とポイント
Microsoft Koreaは、IMMERSEとの連携を通じて、没入型のトレーニングが、不安を抑えながら高い効果をもたらす語学研修の新たな選択肢となることを実証しました。
従業員は、柔軟でリアルな環境の中で実践的なコミュニケーションスキルを身につけることができ、チーム内でのより良い連携に向けた土台づくりにもつながっています。